保険の営業をしていた頃と、
今とでは、
保険に対する考え方がかなり変わった。
ただ、
一つ誤解されたくないことがある。
僕は、
「保険なんかいらない」
と思っているわけではない。
むしろ、
必要な人には必要だと思っている。
家族がいる。
自分に何かあった時、
残された家族の生活を守る必要がある。
そんな時、
保険はかなり便利な仕組みだ。
今でも、
そこは変わっていない。
変わったのは、
保障と資産形成を一つの商品でまとめて考えなくなったこと。
今の僕なら、
この二つは、
できるだけ分けて考える。
保険の一番分かりやすい役割は「もしも」に備えること
保険って、
そもそもかなり特殊な商品だと思う。
例えば、
自分が明日亡くなったとしても、
契約内容によっては、
その時点で大きな保障を家族へ残せる。
自分で同じ金額を貯めようと思えば、
当然時間が掛かる。
でも、
保険なら、
契約した直後から大きなリスクに備えられる場合がある。
ここは、
他の金融商品とはかなり違う。
だから、
「今この瞬間に、自分に何かあったら困る人がいる」
なら、
保険を使う意味はあると思っている。
でも、保障が必要な金額は人によって全然違う
例えば、
独身。
扶養する家族はいない。
ある程度の貯蓄もある。
そんな人と、
小さい子どもがいて、
住宅ローンもあって、
家計の大部分を自分の収入で支えている人。
必要な保障が同じになるわけがない。
だから僕は、
「社会人になったら、とりあえず大きな生命保険」
みたいな考え方には、
今はあまりならない。
まず、
自分に何かあった時、
誰が困るのか。
いくら不足するのか。
公的な保障や、
今ある資産で、
どこまでカバーできるのか。
その不足分を、
保険で補えばいい。
僕なら、
まずそこから考える。
若い頃の僕は、保障と資産形成を一緒に考えていた
保険営業を始めた頃は、
保障があって、
さらに将来お金も貯まる。
それなら、
かなりいい商品やん。
そんな感覚があった。
若いうちから始めて、
長く続ける。
将来、
まとまったお金になる。
保障も付いている。
だったら、
頑張って大きめに入ってもらう方が、
お客さんのためになる。
本気でそう思っていた。
その考えが変わっていった経緯は、
保険を勉強したら、保険が売れなくなった。
にも書いている。
資産形成として見ると、「途中で動きにくい」が気になった
僕が一番気になるようになったのは、
長期間続ける前提の商品であることだった。
20年。
30年。
その間、
人生が何も変わらない人なんて、
たぶんほとんどいない。
転職。
結婚。
出産。
住宅購入。
収入の変化。
突然大きなお金が必要になることもある。
最初は無理なく払えていた金額が、
10年後にも無理なく払えるとは限らない。
商品によっては、
早い時期に解約すると、
受け取れる解約返戻金が、
それまでの払込額を下回る場合もある。
金融庁も、
保険商品については、
契約期間や解約時の条件などを理解した上で選ぶことが重要だとしている。
だから僕は、
何十年も先の資産形成を、途中で動かしにくい形へ大きく固定すること
に慎重になった。
インフレも、長期なら無視できないと思う
もう一つ、
長期間になるほど気になるのが、
お金そのものの価値。
今の100万円と、
20年後、30年後の100万円が、
同じ価値とは限らない。
物価が上がれば、
同じ100万円で買える物は減る。
もちろん、
保険にもいろんな種類がある。
外貨建て。
変額。
その他、
経済環境によって受取額が変わるものもある。
だから、
「保険は全部インフレに弱い」
と一括りにするつもりはない。
ただ僕は、
超長期の資産形成なら、できるだけ柔軟に動かせる方が好き
という結論になった。
今の僕なら、まず保障だけ考える
もし今、
20代の自分から、
「生命保険どうしたらいい?」
と聞かれたら、
まずこう考えると思う。
自分が死んだ時、
経済的に困る人はいる?
いるなら、
どれくらい不足する?
その不足分を、
まず保障として準備する。
そして、
必要な保障を作る方法として、
掛け捨ての商品も含めて考える。
掛け捨てって、
保険料を払っても、
何も起きなければお金が戻らないことが多い。
だから、
昔の僕は、
少しもったいなく感じていた。
でも今は、
保障を買う商品なんだから、それでいい
と思うようになった。
自動車保険を「元を取れなかった」とは思わない
例えば、
一年間自動車保険に入って、
一度も事故を起こさなかった。
だから、
払った保険料が無駄だった。
とは、
普通あまり考えないと思う。
事故が起きなかった。
でも、
もし起きた時には、
大きな損失に備えられていた。
それが保険。
生命保険も、
保障だけ切り離して考えると、
僕にはかなり分かりやすくなった。
何も起きなかったら損
ではなく、
大きなリスクを一定期間移している
と考える。
その方が、
僕にはしっくり来る。
資産形成は、資産形成として考えたい
その上で、
将来のお金を増やしたいなら、
僕は別で考えたい。
預貯金。
投資。
NISAのような制度。
その他の金融商品。
それぞれ、
リスクも違えば、
自由度も違う。
もちろん、
投資なら元本保証ではないものもある。
価格が下がることもある。
だから、
「保険をやめて投資すれば絶対得」
なんて話ではない。
そんな単純なものではない。
僕が言いたいのは、
保障が必要だから保険。
資産形成がしたいから資産形成の商品。
目的を分けて考えた方が、自分には分かりやすい。
ということだ。
ドル建て保険を勧めていた自分とも矛盾しない
営業時代、
僕はドル建ての商品をかなり勧めていた。
今の考えだけ聞くと、
「じゃあ昔の提案は全部間違いやったん?」
となるかもしれない。
でも、
僕はそうは思っていない。
当時の僕は、
自分が扱える商品の中で、
できるだけ良いと思えるものを探していた。
円だけで資産を持つより、
ドルへ分散するきっかけにもなる。
そう考えていた。
当時の自分なりに、
ちゃんと理由があった。
ただ、
その後さらに勉強して、
そもそも資産形成まで保険商品だけで考えなくてもいい
と思うようになった。
知識が増えて、
自分の答えが変わっただけだ。
保険を資産形成に使う場面がないとも思っていない
じゃあ、
資産形成に保険を使う意味は一切ないのか。
そこまで言うつもりもない。
人によっては、
強制的に積み立てる仕組みが合うかもしれない。
商品によって、
税務上の扱いや、
保障との組み合わせに意味がある場合もある。
将来、
資産がある程度できた後に、
長生きすることで資産が尽きるリスクを、
保険という仕組みでカバーする。
そんな使い方も考えられる。
だから、
僕が言っているのは、
「保険で資産形成するな」
ではない。
僕自身なら、
若いうちはまず別で資産を作ることを優先する、
というだけだ。
商品より先に、「何のためのお金か」を決めたい
保険の営業をしていた時、
商品から考えることが多かった。
この保険には、
こういう特徴がある。
こんな保障がある。
将来こうなる。
でも今なら、
その前に考えたい。
このお金は何のため?
死亡した時の家族の生活費?
老後資金?
子どもの教育費?
数年後に使うお金?
目的が違えば、
必要な商品も違う。
全部を一つの商品へ詰め込む必要もない。
保険は必要。でも、何でも保険でやる必要はない
生命保険は、
今でも必要な仕組みだと思っている。
僕自身、
家族がいる今なら、
保障について考える意味はある。
でも、
保障が必要だから、
老後資金も。
教育費も。
資産形成も。
全部保険で。
とは、
今は考えない。
僕なら、
保障は保障。
資産形成は資産形成。
目的を分ける。
その上で、
必要なら保険を使う。
今のところ、
それが一番しっくり来ている。
保険は必要。
でも、
資産形成まで保険に任せなくていい。
保険を売っていた頃より、
今の僕は、
保険をもっとシンプルな道具として見るようになった。

