最初にそのFXDLSをネットで見つけた時。
正直、僕の評価はそれほど高くなかった。
というより、
「これは別にないかな」
くらいだった。
理由は分かりやすい。
フェアリングが好みじゃない。
リアサスが上がっている。
そして何より、予算的にも高い。
ところが、その「ない」と思っていたFXDLSを、僕は後日わざわざ埼玉まで見に行くことになる。
そして実車を見て、跨って、エンジンを掛けてもらって。
最後には、担当してくれた店員さんが一瞬「え?」となるくらいの速さで、
「じゃあ、契約進めてください」
と言っていた。
写真は何度も見ていた。
動画も見た。
スペックも調べた。
それでもやっぱり、
実物を見ないと分からないことはある。
今回は、最初は「ない」と思っていた一台が、僕の一生モンの相棒になった日の話。
最初の印象は、全然刺さっていなかった
そのFXDLSは269万円だった。
走行距離は6000km台。
今考えればかなり魅力的な条件だったけど、最初にネットで見た時はそこまで刺さらなかった。
まず気になったのがフェアリング。
僕が目指していたクラブスタイルとは少し違っていて、どうしても好きになれなかった。
そしてリアサス。
車高が上がっていて、写真で見ると結構腰高に見えた。
僕はバイクを極端にスポーティに振りたいわけではない。
足つきも悪くしたくない。
だから、これもマイナスだった。
さらに予算。
当時の僕にとって269万円という車両価格は、決して「これくらいなら」と簡単に出せる金額ではなかった。
つまり、
フェアリングは好みじゃない。
リアは高い。
値段も高い。
最初から飛びつく要素は、それほどなかった。
「いや、待てよ。これ化けるんちゃう?」
それでも中古車サイトでFXDLSを探していると、何度もその個体を見ることになる。
AIにも相談しながら、他の候補と比較していた。
そして何度も写真を見ているうちに、ふと思った。
「いや、待てよ?」
フェアリングは気に入らない。
でも、フェアリングなんて交換すればいい。
リアサスも好みじゃないと思っていたけど、それ以外をよく見るとかなりいい。
何より走行距離が少ない。
そしてハンドル周りをはじめ、すでに入っているカスタムを一つずつ見ていくと、
自分がこれからやろうとしていたクラブスタイルに、意外と近い。
最初は「好みじゃない部分」が目についていた。
でも見方を変えると、
「フェアリング変えるだけで、めちゃくちゃ化けるんちゃう?」
と思い始めた。
そこから、この個体が一気に気になり始めた。
埼玉まで見に行った理由
とはいえ、店は埼玉。
僕は和歌山。
普通に考えれば、ちょっと現車を見に行くような距離ではない。
でも、ここは偶然が味方した。
妻の実家が店の近くだった。
これが大きかった。笑
もちろん、一生乗るつもりで探しているバイクだから、一度くらい自分の目で見ておきたいという気持ちはあった。
ただ、実は僕が現地で確認したかったのは、バイクそのものだけではなかった。
むしろ、
「この店から300万円を超えるバイクを買って大丈夫か?」
こっちの方が気になっていた。
遠方の中古車屋から買う。
何かあっても簡単に店へ持っていける距離ではない。
車両が良くても、店が信用できなければ怖い。
だから僕にとっての現車確認は、
車両確認と同時に、店を確認するためでもあった。
実際、この時に僕が「現車より見たかったもの」については、別の記事でも詳しく書いている。
→ 300万円の中古ハーレー。現車より見たかったのは「店」だった。
メールは正直、かなりあっさりしていた
現車確認へ行く前から、店とはメールでやり取りしていた。
正直な印象を言えば、
かなりあっさり。
必要なことには答えてくれるけど、ものすごく丁寧に営業されている感じではない。
下取りの相談でも、
「これ、忘れてたんちゃう?」
と思うようなこともあった。
だからメールの段階では、
「めちゃくちゃ親切な店やな!」
という印象ではなかった。
ただ、その店自体は以前から知っていた。
YouTubeにも大量に動画が出てくる。
バイク好きの有名人が訪れている動画なんかも見たことがある。
ハーレーを大量に扱っていることも知っていた。
だから、
「まあ、変な店ではないやろ」
とは思っていた。
それでも、自分で行って見るのとネットで見るのは別。
その確認もしたかった。
店に着いて、まずハーレーの数に圧倒された
実際に店へ行って最初に驚いたのは、
とにかくハーレーの数。
倉庫の中に、ハーレーがズラッと並んでいる。
しかも、それが一棟だけじゃない。
「アメリカでも、こんなハーレーばっかり並んでる倉庫そうそうないやろ」
と思うくらいだった。笑
僕自身、過去にもハーレーには乗っている。
それでも、あれだけの台数が一か所に並んでいる光景は圧巻だった。
そして、その中に今回見に来たFXDLSがいた。
「おー!これがローライダーSか」
考えてみれば、FXDLSという車種を目の前でじっくり見るのは、その時が初めてだった。
ネットでは散々見ている。
写真なんて穴が開くほど見た。
それでも実物を前にすると、
「おー!これがローライダーSかー!」
となった。
写真で見ていた通り、全体的に黒い。
Twin Cam 110。
ゴールドのホイール。
ダイナのLow Rider S。
そして実車を見て、すぐ気になったのがハンドルだった。
跨る前から、
「これ、ベスポジちゃう?」
と思った。
ハンドルを握った瞬間、「これやん」
僕の中では、理想のハンドルポジションが何となく決まっていた。
クラブスタイルらしく、ある程度高さは欲しい。
前傾姿勢は好きじゃない。
高さは肩と同じくらい。
そこから少し手前に来て、肘が軽く曲がる。
そんなポジションが理想だった。
そしてFXDLSに跨って、実際にハンドルを握った。
その瞬間、
「これやん。」
本当にそんな感じだった。
高さ。
引き。
腕の角度。
全部がちょうどいい。
中古車だから、当然僕に合わせて作られたバイクではない。
前のオーナーが作ったポジションだ。
なのに、
「これ俺用に作ったんちゃう?」
と思うくらいしっくりきた。
これは写真では絶対に分からない。
ハンドルの高さや寸法を数字で見ても、自分の身体に合うかどうかは跨ってみないと分からない。
現車確認に来て良かったと、ここでかなり思った。
写真ではマイナスだったリアサスも、実物ではアリだった
そしてもう一つ、評価が変わったのがリアサス。
写真では車高が高く見えて、
「これは下げたいな」
と思っていた。
でも実際に跨ってみると、
「あれ?」
となった。
思っていたほど足つきが悪くない。
そして車体全体を見ると、リアが少し上がっていることでスポーティに見える。
「これ、このままでええんちゃう?」
写真では明確なマイナスポイントだった部分が、実物ではむしろ気に入った。
これも現車を見なければ分からなかったことだった。
ただし、フェアリングだけは無理だった
じゃあ、写真で気になっていたところが全部良く見えたのか。
そんなことはない。
フェアリング。
これは、
実物を見てもやっぱり無理だった。笑
ここだけは評価が一切変わらなかった。
むしろ、
「これは絶対変えよう」
と確信した。
でも逆に言えば、大きく気に入らない部分はそれくらいだった。
フェアリングなら交換できる。
だったら、それほど大きな問題ではない。
最初にネットで見た時には、そのフェアリングの印象が強すぎて個体全体の評価まで下げていた。
でも実物を見ると、
「ここだけ変えればいいやん」
に変わった。
初めて聞いた、Twin Cam 110+Bassaniの生音
そしてエンジンを掛けてもらった。
僕にとっては、
初めてのTwin Cam 110。
初めて生で聞くBassani。
しかも室内。
さらにコールドスタート。
エンジンが掛かった瞬間の感想は、
「やばっ!めっちゃうるさいやん!」
だった。笑
Bassaniについては事前に動画でも調べていた。
Thunderheaderの生音は昔から知っていたし、AIに聞いても、
「Bassaniの方がThunderheaderよりは少し大人しい」
くらいの話だった。
ところが実際に聞いたら、
「いや、これサンダーヘッダーと変わらんやん!」
と思った。笑
もちろん室内、コールドスタートという条件もある。
それでも、動画でイヤホンやスマホから聞いていた音とは全然違った。
音量だけじゃない。
110の重さ。
排気の圧。
空気そのものが震えるような感じ。
バイクの音は、動画では分からない。
これは改めて思った。
「ちょっとやんちゃすぎるか?」
とは思った。
でも同時に、
めちゃくちゃ好きな音だった。
半年くらい寝ていた感じはあった
もちろん、何もかも完璧だったわけではない。
車両は少しホコリっぽかった。
話を聞いた感じでも、半年くらい倉庫で寝ていたようだった。
だからピカピカに磨き上げられた展示車を見た、という感じではない。
でも、それほど気にはならなかった。
走行距離は少ない。
大きく気になるところもない。
ホコリなら綺麗にすればいい。
何より、実際に見て跨ったことで、
写真から想像していた以上に、
「これ、俺の理想に近いぞ」
という感覚が強くなっていた。
メールと、実際に会って話すのも全然違った
車両だけじゃなく、店に対する印象も変わった。
担当してくれた方は、実際に話してみると気さくな人だった。
追加カスタムの相談をしても、
「それならこうした方がいい」
「これは別に今やらなくてもいい」
という感じで、かなり率直に話してくれた。
何でも売ろうとする感じではない。
そして話していれば、
「この人、本当にハーレー好きなんやな」
というのが分かる。
知識もある。
遠方から高い中古車を買う以上、これは僕にとってかなり大きかった。
メールでは分からなかった部分だった。
バイクもそう。
店もそう。
やっぱり実際に見て、実際に話さないと分からない。
そして、その場で契約した
一通り車両を見た。
跨った。
エンジンも聞いた。
店の人とも話した。
この時点で、僕の中ではほぼ決まっていた。
だから、そのまま言った。
「じゃあ、契約進めてください。」
担当してくれた方が、一瞬、
「え?」
みたいな反応をしたのを覚えている。笑
たぶん、
「一度持ち帰って検討します」
とか、
「他の車両も見てから考えます」
くらいの流れを想像していたんだと思う。
でも、僕にはもうそれほど迷う理由がなかった。
最初は気に入らなかったフェアリングは、交換すればいい。
マイナスだと思っていたリアサスは、実物ではむしろ気に入った。
ハンドルは理想そのもの。
Bassaniは想像以上にやんちゃだったけど、音は好き。
低走行。
状態も悪くない。
そして何より、
自分がこれから作ろうとしていたクラブスタイルの大枠が、すでに出来上がっている。
だったら、これでいい。
いや、
これがいい。
写真だけで切っていたら、このバイクには乗っていなかった
今振り返ると、少し怖い。
最初にネットで見た時の印象だけで判断していたら、
僕はこのFXDLSを候補から外していた可能性がある。
フェアリングが嫌。
リアが高い。
値段も高い。
それだけ見れば、
「他を探そう」
で終わっていた。
でも何度も見て、条件を整理して、
「これ、実はかなり理想に近いんちゃう?」
と気付いた。
そして現物を見ると、さらに評価が変わった。
ハンドルのポジション。
足つき。
車体の存在感。
エンジンの音。
店の雰囲気。
担当者との会話。
どれも写真やスペック表だけでは分からなかった。
もちろん、全国の中古バイクを全部現車確認するなんて現実的ではない。
僕の場合は妻の実家が近いという、かなり都合のいい条件もあった。
それでも、
「これかもしれない」
と思える一台に出会ったなら、可能なら一度は自分の目で見る価値はあると思う。
特に、一生乗るつもりのバイクならなおさらだ。
最初の自分に言ってやりたい
もし、最初に269万円のこのFXDLSをネットで見て、
「これはないかな」
と思っていた自分に今ひと言言えるなら。
たぶん、こう言う。
「お前の理想のクラブスタイル、大枠ほぼこれでいけるぞ。」
そして、もう一言。
「結局これ買った方が安上がりやぞ。」
フェアリング一つで候補から外さなくて、本当に良かったと思う。
あの日、ネットの写真の向こう側にいた一台は、
今では僕のガレージにいる。
そしてたぶん、
これから先、何十年も付き合っていく相棒になる。

