ある日、ぼーっと考え事をしていたとき、ふと思った。
「そういや5Gって、結局どうなったん?」
5Gが登場した頃、世の中はかなり騒いでいた。
当時、YouTube大学で5Gを紹介する動画を見たのが、個人的には一番印象に残っている。
超高速。 超低遅延。 多数同時接続。
無線でゲームをしてもラグがなくなり、有線接続の優位性すら薄れていく。
自動運転のクルマは常時ネットワークにつながり、遠隔医療まで現実になる。
「近い将来、無線通信ってとんでもないことになるんやな」
そんなことを漠然と思っていた。
……で、あれから何年も経った。
今では普通に5G対応のiPhoneを使っている。
でも。
俺の生活、何か劇的に変わったか?
特別速くなったとも思わない。
ゲームからラグが消滅したわけでもない。
自動運転車が街中を走り回っているわけでもない。
あれだけ言われていた5Gの未来は、一体どこへ行ったんだろう。
気になったので、2026年現在の5Gが実際どうなっているのか、改めて調べてみることにした。
そもそも、5Gで何が変わるはずだったのか
5Gの特徴としてよく言われていたのが、
- 高速・大容量
- 超低遅延
- 多数同時接続
の3つ。
これは単なる携帯会社の宣伝文句ではなく、5Gの国際規格であるIMT-2020でも想定されていた方向性だ。
つまり、
「5Gになれば、とんでもない通信ができるようになる」
という話そのものが嘘だったわけではない。
高速・大容量になれば、高画質な映像や大量のデータを一瞬で送れる。
通信の遅延が極端に小さくなれば、遠隔操作やリアルタイム性が必要なサービスにも使える。
そして膨大な数の機器を同時につなげられるなら、クルマ、家電、センサー、工場設備など、あらゆるモノがネットワークにつながる。
当時の俺が、
「そのうち有線接続の優位性すらなくなるんちゃう?」
と思ったのも、別に完全な勘違いではなかったようだ。
じゃあ、なんで今そうなっていないのか。
スマホに「5G」と出ている=5Gの本気ではなかった
ここが今回調べていて、一番「なるほど」と思ったところだった。
一口に5Gと言っても、使っている周波数やネットワークの構成によって性能は大きく違う。
特に5Gらしい超高速通信で期待されたのが「ミリ波」。
日本では28GHz帯などの非常に高い周波数を使う。
このミリ波は広い帯域を確保できるので、とにかく大量のデータを高速で送れる。
ところが、大きな弱点がある。
電波が遠くまで飛びにくい。
そして、
建物などの障害物にも弱い。
つまり、
「めちゃくちゃ速いけど、広いエリアをカバーするのが難しい」
ということ。
街中のどこでも使えるようにしようと思えば、多数の基地局や中継設備が必要になる。
実際、2026年になった現在でも、ドコモとKDDIは共同でミリ波エリアを効率的に広げるための中継器を開発し、実証を進めている。
逆に、俺たちが普段スマホで目にする「5G」の中には、比較的広いエリアをカバーしやすい周波数を使ったものもある。
もちろん4Gから進化している部分はある。
でも、
「アンテナの横に5Gと表示された瞬間、未来の超高速・超低遅延通信になる」
というほど単純な話ではなかった。
だから5Gのスマホを何年使っても、
「確かに4Gとは別世界やな!」
というほどの衝撃を感じなかったのも、ある意味当然だったのかもしれない。
「超低遅延」はどこへ行った?
俺が5Gに一番期待していたのは、実は通信速度よりこっちだった。
ゲームを無線でやってもラグを感じない。
遠隔操作でもほぼリアルタイム。
自動運転車が常時ネットワークにつながり、瞬時に情報をやり取りする。
そんな世界。
でも調べてみると、「5G=自動的に超低遅延」ではなかった。
本格的に低遅延を実現するには、5G SA(スタンドアローン)と呼ばれる5G専用のネットワーク構成や、利用者の近くでデータ処理をするエッジコンピューティングなど、通信の入口からその先まで含めた仕組みが必要になる。
実際、KDDIは2025年11月、5G SAへ低遅延技術「L4S」を一部エリアで導入。
ソフトバンクも同年12月、5G SAの商用ネットワークで5G-Advancedの技術を組み合わせた低遅延通信のフィールドトライアルを実施している。
つまり、俺が数年前に想像していた、
「無線なのにラグをほとんど感じない世界」
は、技術として消えたわけではない。
むしろ今も進化している途中だった。
じゃあ、自動運転や遠隔医療はどうなった?
これも「5Gが来れば一気に実現する」というほど簡単な話ではなかった。
考えてみれば当然で、自動運転なら通信だけではなく、
- 車両側のセンサー
- AI
- 道路インフラ
- 安全基準
- 法制度
など、いろんなものが揃わないといけない。
遠隔医療だって同じだ。
通信が速くなったからといって、次の日から遠隔手術が当たり前になるわけではない。
5Gはそれらを実現するための「部品の一つ」だった。
ところが当時は、
5G ↓ 自動運転 ↓ 遠隔手術 ↓ 未来の社会!
みたいな説明をよく見た。
今振り返ると、ここがかなり話を大きく見せていた部分だったんじゃないかと思う。
じゃあ5Gは失敗だったのか?
ここまで調べてみて、俺の答えは「違う」。
最初は正直、
「あれだけ騒いでた5G、結局大したことなかったんちゃう?」
くらいに思っていた。
でも、
ミリ波もある。
超低遅延を実現する技術もある。
5G SAもある。
工場やIoTなど、一般ユーザーから見えにくい場所で使われる5Gもある。
当時語られていた技術そのものが、全部絵空事だったわけではない。
ただし。
俺たち一般ユーザーが、
「5Gになったら、すぐこんな未来が来る!」
と思わされていた部分については、かなり盛られていたと思う。
個人的な感覚を数字にするなら、
「宣伝盛りすぎ8割、技術失敗2割」
くらいだろうか。
もちろんこれは技術的な評価ではなく、あくまで一人の利用者としての感想だ。
5Gそのものが失敗したというより、
「技術として実現できること」と 「それを日本中で安く、安定して、誰でも使えるようにすること」
の間には、想像していた以上に大きな壁があった。
そんな感じがする。
5Gは「何も起こらなかった技術」ではなかった
今回調べるまで、俺の中の5Gは、
「そういや昔めっちゃ騒いでたな」
くらいの存在になっていた。
スマホの右上に5Gと表示されても、もはや何とも思わない。
でも改めて調べてみると、少し印象が変わった。
5Gは失敗して消えたわけではない。
俺たちが当時想像していた完成形が、まだ生活の隅々まで降りてきていない。
そしてその間にも、通信技術は5G SA、5G-Advanced、その先へと進み続けている。
今後は6Gという言葉を目にする機会も増えていくだろう。
そのとき、またきっと、
「世界が変わる」
と言われると思う。
たぶん本当に変わる部分もある。
でも次は、
「その技術ができること」と 「俺たちが普通に使えるようになること」
は別の話として見た方が良さそうだ。
何年か経って、またふと思うかもしれない。
「そういや6Gって、結局どうなったん?」
そのときは、また調べてみようと思う。
参考資料
この記事の技術的な内容については、以下の公式資料を参考にしました。

