父が長く乗っていたハーレーを手放すことになった。
2012年式のソフテイル・デラックス。
新車で買ってから、点検や整備もずっと同じハーレーディーラーに任せてきた車両だった。
そのデラックスの最後のツーリング。
3日間走った帰りに、そのままディーラーへ寄った。
父が、
「手放すかもしれへんねんけど、とりあえず査定してくれる?」
とお願いしたのが始まりだった。
そこで出てきた金額が、
70〜80万円くらい。
実車を見ずに出した概算査定ではない。
写真だけでもない。
実際に車体を見てもらっている。
しかも、その車両を新車の時からずっと見てきた店だった。
だから僕らも、その数字をかなり現実的な査定額として受け取った。
他では60万円という査定も出ていた
その後、別のところでは60万円という査定も出た。
普通なら、
「60万円出るなら、そっちでもいいか」
となるところだと思う。
でも、最初のディーラーでは70〜80万円と言われていた。
そこで父に、
「ほんまに75万円くらいでいけるんか、もう一回確認してみて」
と頼んだ。
父は電話で確認した。
それでも75万円という認識だった。
僕はもう一度、
「持って行ってから話変わったら困るから、ちゃんと確認しといてな」
とお願いした。
父はもう一度電話した。
それでも、こちらとしては75万円で話が進んでいる認識だった。
だから他で出ていた60万円の査定は断った。
そしてデラックスを引き渡した。
車体を渡したあと、「55万円です」
そのあとだった。
ディーラーから、
「買取業者が55万円と言ってまして……」
という話が出てきた。
どうやら、そのディーラーが自社でそのまま買い取って販売するというより、外部の買取業者へ回す形だったらしい。
説明としては、
「もうちょっといくと思ったんですけどね」
という感じだったと父から聞いた。
最終的に提示された金額は、
55万円。
僕からすると、
「いや、20万円違うやん」
となる。
しかも、一番引っかかったのは20万円という金額そのものだけじゃない。
もう車体を渡したあとだったこと。
そこだった。
55万円なら、60万円の査定を断っていない
もちろん、中古車の査定額が絶対に変わらないものだとは思っていない。
最終的に現車を見たら減額になることもあるだろうし、市場価格が動くことだってあると思う。
でも今回は少し違う。
最初の査定も実車を見てもらっている。
その店は車両の履歴も知っている。
そのうえで70〜80万円という話が出て、
さらにこちらから2回確認している。
そこで75万円という認識だったから、他で出ていた60万円を断った。
もし最初から、
「最終的には別の買取業者が査定するので、75万円は確定ではありません」
と言われていたなら、判断は変わっていたと思う。
少なくとも60万円の査定を断る前に、一回考えた。
55万円だと分かっていたなら、当然そっちを選ばなかった可能性も高い。
だから僕が一番モヤっとしたのは、
金額が変わったことより、その金額に誰が責任を持っていたのかが分からなかったこと。
書面を取っていなかった
75万円という話は、書面には残っていない。
最初の実車査定も口頭。
その後の2回の確認も電話だった。
だから今回の経験だけを見ると、
「査定額は必ず書面でもらった方がいい」
という話になるのかもしれない。
それは確かに、ひとつの対策だと思う。
ただ、僕自身は何でもかんでも書面で残さないといけないとも思っていない。
今回だって一回聞いただけではない。
何度も確認している。
長く付き合ってきた正規ディーラーだったこともある。
それで、
「書面がないから仕方ないよね」
だけで終わらせるのも、少し違う気がしている。
今なら、「その金額で確定なんやな?」まで聞く
もし今、同じ状況になったらどうするか。
たぶん僕は、車体を持って行く前にもう一度こう聞く。
「ほんまに75万円で確定なんやな?」
そこで、
「いや、最終的には別会社の査定なので確定はできません」
という話なら、それはそれでいい。
その条件を知ったうえで判断できるから。
ただ、その場合は、
「じゃあ、その金額にそっちが責任持たへんのやったら、車体はまだ渡さん」
となると思う。
今回の経験で僕が気になったのは、査定額を高く見せられたとか、そういうことだけではない。
その数字が“目安”なのか、“この金額で引き取ります”なのか。
そこをお互い同じ認識にしてから車体を渡すこと。
たぶん、それが一番大事だったんだと思う。
父は怒らなかった
ちなみに父は、この件で店と揉めていない。
僕が直接やり取りしていたら、たぶん普通に揉めていたと思う。
でも父はそういうタイプではない。
「まあ、それなら仕方ないね」
くらいで受け入れていた。
だから結果的には55万円で話は終わった。
ただ、僕の中では、
「これは次から気をつけた方がいいな」
という経験としてかなり残っている。
下取り額より、「誰がその金額に責任を持つのか」
中古車やバイクの下取りでは、少しでも高い金額が出たら嬉しい。
でも今回のことで、
高い査定額が出たことより、その金額がどこまで確定しているのかの方が大事
だと思うようになった。
口頭でもいい。
書面でもいい。
ただ、車体を渡す前に、
「この金額で確定なのか」
「あとから外部業者の査定で変わる可能性があるのか」
「最終的に誰がその金額に責任を持つのか」
そこだけは確認しておいた方がいい。
少なくとも僕は、次に同じ場面が来たらそうする。
75万円だと思って車体を渡してから、
「やっぱり55万円でした」
となるのは、もう一回で十分だ。

