ハーレーの歴代ビッグツインエンジン、結局どう違う?ナックル・パン・ショベル・エボ・ツインカム・M8を整理する

ハーレーを見始めると、車種名とは別に意味不明な名前が次々出てくる。

ナックル。
パン。
ショベル。
エボ。
ツインカム。
M8。

最初は、

「これ、車種名なん?」
「エンジン名なん?」
「ショベルとナックルって、どっちが古いん?」

となる。

僕自身、昔どうやって覚えたのかもう思い出せない。笑

覚えているのは、

「ショベル以前は古いハーレー」
「エボからだいぶ壊れにくくなったらしい」

そのくらいだった。

でも中古ハーレーを探すなら、このエンジンの流れをざっくり知っているだけでかなり見やすくなる。

今回は細かいスペックを全部並べるんじゃなく、

ナックルからM8まで、ハーレーのビッグツインがどう進化してきたのか。

そこを初心者向けに整理してみたい。

車種のファミリー自体がまだよく分からない人は、先にこちらを読むと全体像がつかみやすい。

ハーレーのファミリー、結局どう違う?FXDLS乗りがスポーツスター・ダイナ・ソフテイル・ツーリングを整理する

目次

今回整理するのは「ビッグツイン」の歴史

最初に範囲を決めておきたい。

今回は、

ハーレーの主要なビッグツインエンジン

の流れを見る。

ざっくり並べると、

Flathead
↓
Knucklehead
↓
Panhead
↓
Shovelhead
↓
Evolution
↓
Twin Cam
↓
Milwaukee-Eight

という流れ。

ただし、ハーレーにはこれ以外にもエンジンがある。

スポーツスター系のIronheadやSportster Evolution。

V-RodのRevolution。

現行Sportster SやPan Americaに使われるRevolution Max。

これらは別の系統なので、今回は混ぜない。

まず年表だけ見ると、意外とシンプル

FlatheadからMilwaukee-Eightまで、歴代ビッグツインエンジンの流れを示した年表

主要な流れだけならこんな感じ。

  • Flathead(ビッグツイン):1930年から
  • Knucklehead:1936〜1947年
  • Panhead:1948〜1965年
  • Shovelhead:1966〜1984年
  • Evolution:1984〜1999年
  • Twin Cam:1999〜2017年
  • Milwaukee-Eight:2017年〜

こうやって並べると、

「何が何やら分からん」

と思っていた名前も、単純に世代順で見ればかなり分かりやすい。

ただし、Flatheadは少し特殊で、長期間いろいろなモデルに使われている。

今回はビッグツイン史の前史として軽く触れる。

そもそも「ナックル」とか「パン」って正式名称なん?

Knucklehead・Panhead・Shovelheadの形状と愛称の由来を比較した図

ここも最初はややこしい。

ナックルヘッド。

パンヘッド。

ショベルヘッド。

これはもともと、エンジン上部の見た目からライダーたちが付けた愛称。

Knuckleheadはロッカーカバー周辺が握り拳のように見える。

Panheadはカバーが鍋のように見える。

Shovelheadはロッカーカバーがスコップのように見える。

そんなところから名前が付いた。

一方で、

Evolution。

Twin Cam。

Milwaukee-Eight。

この辺になるとメーカー自身が使う正式なエンジン名称になる。

だから中古車を見ていて、

「1948 Panhead」

みたいに書いてあっても、

Panheadという車種が存在するわけではない。

エンジンの世代を指している。

ここを分けるだけでもかなり理解しやすくなる。

Flathead――ビッグツイン史の前史

Flatheadは、その名の通りシリンダーヘッド上部が比較的平らに見えるサイドバルブ式のエンジン。

1929年に45cu.in.のDモデルに登場し、その後ビッグツイン側にも74cu.in.、さらに80cu.in.などが展開された。

後のKnucklehead以降とはバルブの配置自体が違う。

現代のハーレーにつながるOHVビッグツインの前段階。

そんな位置づけで見ればいいと思う。

この時代まで本気で中古車候補に入れる人は、たぶんこの記事を読んで初めてハーレーを探している人とは少し世界が違う。笑

Knucklehead――今につながるOHVビッグツインの始まり

1936年。

ハーレーはKnuckleheadを登場させた。

ここが大きな転換点。

Harley-Davidson初のOHV、つまりバルブをシリンダーヘッド側に置くオーバーヘッドバルブ式のビッグツインだった。

この基本構成が、後の空冷ハーレーVツインへつながっていく。

最初は61cu.in.。

後に74cu.in.も追加された。

今見ると完全にビンテージ。

でも、

今のハーレーにつながる基本形がここから始まった

と思うと、歴史的にはかなり重要なエンジンだと思う。

Panhead――戦後のハーレーを代表するエンジン

1948年に登場したのがPanhead。

Knuckleheadから大きく変わったポイントの一つが、アルミ製シリンダーヘッド。

油圧式バルブリフターも採用され、潤滑系も改良された。

今の感覚なら当たり前に見える改善も、この時代では大きな進化だった。

Panhead時代にはHydra-GlideやDuo-Glideなど、後のツーリングモデルにつながる車体側の進化も進んでいく。

古いハーレーの写真を見て、

「これぞ昔のアメリカン」

と思うような世界観。

僕の中では、もう完全にクラシックハーレーの領域。

Shovelhead――「古いハーレー」と聞いて僕がまず想像する世代

1966年から1984年まで使われたのがShovelhead。

Panheadからシリンダーヘッド周りが改良され、バルブやピストンも強化された。

74cu.in.から、後には80cu.in.も登場する。

そしてこの頃になると、今でも名前が残っているモデルも増えてくる。

Electra Glide。

Super Glide。

Low Rider。

Wide Glide。

僕がハーレーに興味を持ち始めた頃、ショベルは今ほど「完全なビンテージ」という感じでもなかった。

もちろん古いバイクではあったけど、

今みたいな完全な旧車枠とは少し違った気がする。

でも時間が経った今、僕の感覚では、

ショベル以前はもうハッキリ“ビンテージハーレー”の世界。

キックでエンジンをかけて。

ジョッキーシフトにして。

多少壊れるのも味。

トラブルが出ても自分である程度直せる。

そこまで含めて楽しみたい人なら、ものすごく魅力的だと思う。

僕はそこまで旧車好きではないけど。笑

Evolution――古いハーレーと現代ハーレーの境目

1984年に登場したEvolution。

通称エボ。

僕の中では、このエンジンがかなり分かりやすい境目。

Shovelheadまでのビンテージ感を残しながら、

信頼性は一気に現代へ近づいた世代。

Harley-Davidson自身も、Evolutionでは設計や製造技術の進歩によってオイル漏れを減らし、機械ノイズを抑え、耐久性や寿命を大きく改善したとしている。

アルミ製のシリンダーとヘッド。

新しい点火システム。

燃費や燃焼面も改善された。

今ではエボ自体も十分古い。

でも僕の感覚では、

まだ完全なビンテージというより、“ビンテージの仲間入り寸前”。

そんな位置。

昔はショベルだって、今ほどビンテージ扱いされていなかった。

そう考えれば、そのうちTwin Camも、

「昔のハーレー」

と呼ばれる時代が普通に来るんやろなと思う。笑

「旧車は好き。でも全部自分で直すのは無理」ならエボは面白い

僕が中古車選びとしてエボを見るなら、この立ち位置。

古いハーレーの雰囲気には憧れる。

でも、

「故障も全部自分で面倒見ます」

というほどメカに強いわけではない。

普通にツーリングにも行きたい。

毎回、

「今日はエンジンかかるかな」

とドキドキするのは嫌。

そんな人なら、エボはかなり面白い世代だと思う。

もちろん30年以上前の車両もある。

エボだから壊れない、なんて話ではない。

中古車は個体の状態の方が重要。

でもエンジン世代として見ると、Shovelhead以前から信頼性が大きく進んだポイントなのは間違いない。

Twin Cam――僕にとって一番バランスがいい世代

1999年モデルから登場したのがTwin Cam。

名前の通り、

カムシャフトを2本使うエンジン。

最初はTwin Cam 88。

そこから96。

103。

110。

と排気量が大きくなっていった。

ここで初心者が混乱しやすい。

Twin Cam 88。

Twin Cam 96。

Twin Cam 103。

Twin Cam 110。

これは、

全部Twin Camという同じエンジン世代の中の排気量・仕様違い。

110だけ別世代のエンジンというわけではない。

僕のFXDLSに載っているのもTwin Cam 110。

僕自身、ハーレーの歴代エンジンの中で、

「Twin Camが何より一番好き」

というわけではない。

でも、

自分が所有するなら一番バランスがいい。

そう思っている。

古いエンジンの雰囲気もいいけど、僕は普通に壊れるバイクには乗りたくない。

排気量も大きい方が好き。

乾いた軽い音より、ドンッと腹に響くような重低音が好き。

そこを考えると、Twin Camあたりがちょうどいい。

Twin Camでは「同じ世代でも中身が違う」が増えてくる

Twin Camは長く使われたエンジンだから、ひと括りにするとかなり幅がある。

88から始まって、96、103、110へ。

さらに旧ソフテイルには、振動を抑えるためのカウンターバランサーを持つTwin Cam B系も使われた。

ダイナやツーリングのTwin Camと、旧ソフテイルのTwin Camでは振動対策の考え方も違う。

この辺は前の記事でも触れた。

ダイナと旧ソフテイルは何が違う?見た目だけでは分からない構造の違い

Twin Camだけでも一記事では足りない。

88、96、103、110。

AとB。

キャブとインジェクション。

この辺は別記事でちゃんと整理したい。

キャブとインジェクションも、エンジン世代とは別の話

これも混同しやすい。

キャブレターとインジェクションは、

エンジンの世代名ではない。

ガソリンをエンジンへ送る方式の違い。

かなり簡単に言えば、

キャブレターは空気の流れや負圧を利用して機械的に燃料を混ぜる。

インジェクションは、センサーやECUを使って電子制御で燃料を噴射する。

キャブにはキャブの良さがある。

自分で調整できる。

構造が分かりやすい。

独特のフィーリングや始動作業まで含めて好きな人もいる。

僕も昔、キャブのSportster 1200に乗っていた。

一方でインジェクションは、

気温や標高などの変化にも合わせて燃料を制御してくれる。

始動も楽。

日常的な扱いやすさも高い。

今、世界中の車やバイクのほとんどがインジェクションになっていることを考えれば、

実用品としてどっちが優位なのかは、あまり説明するまでもないと思う。

でも、

「優れている」

と

「好き」

は別の話。

そこがバイクの面白いところでもある。

FXDLSのTwin Cam 110は、僕にとって結果的に最高だった

歴代ビッグツインの中でTwin Cam 110とFXDLSの位置を示した図

僕がFXDLSを選んだ時、

最初から、

「Twin Cam 110じゃないと嫌や!」

と探していたわけではない。

先にあったのは、

ブラックエンジンのダイナが欲しい。

という条件。

そこから探していった結果、

FXDLSにたどり着いた。

そして調べてみたら、

「これTC110載ってるやん」

となった。

もちろん、

ダイナ最終期にTwin Cam最大級の110が載っている。

これはかなり決め手になった。

でも順番としては、

110だからFXDLSを選んだんじゃない。

FXDLSに惹かれて、結果的に110だった。

そこは自分の中でも結構大事。

TC110だから選んだんじゃない。でも、ダイナ最終最強エンジンって最高やん。

FXDLSを選んだ経緯自体はこちらに詳しく書いている。

高くて諦めていたFXDLSが、結局いちばん合理的だった。

Milwaukee-Eight――今のハーレーにつながる新世代

2017年モデルから登場したのがMilwaukee-Eight。

通称M8。

Twin Camから大きく変わった。

Twin Camの2本カムから、再びシングルカムへ。

そして一番分かりやすい名前の由来が、

1気筒4バルブ×2気筒=8バルブ。

だからMilwaukee-Eight。

全仕様にカウンターバランサーが採用され、モデルによってはシリンダーヘッド周辺を液冷するTwin-Cooledも使われている。

排気量も、

107。

114。

117。

121。

と展開されてきた。

ここもTwin Camと同じ。

M8 107とM8 121は別世代のエンジンではない。

Milwaukee-Eightという同じエンジンファミリーの中の排気量・仕様違い。

121ではVVT、可変バルブタイミングまで採用された仕様も登場している。

ハーレーもかなり現代的になった。

新しいほど「高性能」でも、新しいほど「好き」とは限らない

ここはバイクでは特にそうだと思う。

燃焼効率。

排ガス。

パワー。

熱対策。

振動対策。

始動性。

制御。

純粋な機械として見れば、当然新しい世代ほど進化している部分は多い。

でも、

じゃあ全員M8を買えばいいやん。

とはならない。

キックでエンジンをかけたい人もいる。

ショベルの見た目が好きな人もいる。

エボの雰囲気が好きな人もいる。

Twin Camの鼓動感が好きな人もいる。

僕自身も、M8の方が新しく高性能だからといって、FXDLSから乗り換えたいとは思っていない。

バイクの場合、

性能の高さだけでは決まらない。

じゃあ、どの世代を探せばいい?

僕なら、かなり大ざっぱにこう考える。

ショベル以前

キックで始動したい。

ジョッキーシフトで乗りたい。

古い機械そのものが好き。

壊れることまで含めて楽しめる。

メカにも強く、ある程度自分で面倒を見られる。

そんな人。

ここはもう、

「旧車に乗る」こと自体が趣味

くらいの覚悟がある人向けだと思う。

Evolution

ビンテージハーレーには憧れる。

でも全部自分で修理するほどではない。

普通にツーリングにも行きたい。

古い雰囲気と実用性、両方欲しい。

そんな人。

僕の中では、

ビンテージと現代ハーレーの中間。

Twin Cam

そこまで旧車にはこだわらない。

故障は普通に嫌。

ダイナに乗りたい。

排気量も欲しい。

ハーレーらしい鼓動や荒々しさも欲しい。

そんな人。

まさに僕がここ。

Milwaukee-Eight

できるだけ新しい方がいい。

高性能な方がいい。

始動性や快適性も大事。

現代的なハーレーに乗りたい。

そんな人。

このくらいの分け方から入れば十分だと思う。

エンジン名だけで中古ハーレーを決めなくていい

ただし、

「エボなら絶対これ」

「Twin Camなら絶対安心」

みたいな選び方はしない方がいいと思う。

特に中古車。

年式。

走行距離。

整備歴。

保管状態。

カスタム内容。

前オーナーがどう扱っていたか。

同じエンジンでも個体差は大きい。

それに、最初からエンジンだけで候補を絞らなくてもいい。

まずカッコいいと思ったハーレーを見る。

それが何年式なのか。

どのファミリーなのか。

どのエンジンなのか。

そこから調べればいい。

僕自身もそうだった。

歴史を知ると、中古ハーレーが少し見やすくなる

ナックル。

パン。

ショベル。

エボ。

ツインカム。

M8。

名前だけ並ぶと意味不明。

でも時系列で見ると、

ハーレーが少しずつ信頼性、冷却、潤滑、振動対策、排気量、性能、環境対応を進化させてきた歴史

だと分かる。

そして大事なのは、

新しいエンジンほど全員にとって正解、というわけではないこと。

古い機械を楽しみたいのか。

古さと実用性を両立したいのか。

荒々しいビッグツインが欲しいのか。

最新の性能が欲しいのか。

自分がハーレーに何を求めるかで、選ぶエンジン世代は変わる。

まずはそこだけ分かれば十分だと思う。

ここからTwin Camの88、96、103、110。

Twin CamとMilwaukee-Eight。

M8の107、114、117、121。

それぞれをもう少し細かく整理していけば、

ハーレーの中古車を見るのがかなり面白くなるはずだ。

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この記事を書いた人

建設業で働きながら、ハーレー、釣り、仕事、暮らしの中で実際に経験したこと、試したこと、考えたことを記録しています。正解を押しつけるのではなく、自分なりのリアルな視点で発信するブログです。

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