107。
114。
117。
121。
ハーレーのMilwaukee-Eightを見ていると、
数字がどんどん出てくる。
僕も、
「数字は排気量やろ?」
くらいには思っていた。
その認識自体は、
だいたい合っている。
でも最近は、
117 Classic。
117 Custom。
117 High Output。
121 VVT。
121 High Output。
まである。
こうなってくると、
「同じ117やのに、まだ種類あるん?」
となる。笑
この記事では、
2026年10月時点の情報をもとに、
Milwaukee-Eightの107・114・117・121を整理する。
先に結論を言えば、
107、114、117、121は、全部Milwaukee-Eightという同じ世代のエンジン。
基本的に数字は、
排気量を立方インチで表している。
ただし、
同じ117や121でも、
吸気。
排気。
カム。
冷却。
チューニング。
搭載される車体。
が違う。
だから、
数字だけ見て選ぶエンジンではない。
ここが一番大事だと思う。
Milwaukee-Eightって、そもそも何?
Milwaukee-Eightは、
Twin Camの後継として登場した、
Harley-Davidsonのビッグツインエンジン。
2017年モデルのTouring/Trikeから採用が始まった。
名前の、
Eight
は、
8気筒という意味ではない。笑
1気筒に、
吸気バルブ2本。
排気バルブ2本。
合計4バルブ。
Vツインなので、
4バルブ×2気筒。
合計8バルブ。
これが、
Milwaukee-Eightの「Eight」。
Twin Camでは、
その名の通り2本のカムシャフトを使っていた。
Milwaukee-Eightでは、
再び1本のカムシャフトになった。
ただし、
1カムになったから古い構造へ戻った、
という話ではない。
4バルブ。
ツインプラグ。
カウンターバランサー。
冷却方式の進化。
など、
中身は大きく変わっている。
107・114・117・121は何の数字?
まず、
ここを一回整理する。
| 呼び方 | 立方インチ | 排気量の目安 | 主な立ち位置 |
|---|---|---|---|
| Milwaukee-Eight 107 | 107ci | 約1,746cc | 初期M8の標準仕様 |
| Milwaukee-Eight 114 | 114ci | 約1,868cc | 初期の上位仕様 |
| Milwaukee-Eight 117 | 117ci | 約1,923cc | CVOから始まり量産モデルへ拡大 |
| Milwaukee-Eight 121 | 121ci | 約1,977cc | CVO系を中心とする上位仕様 |

つまり、
107。
114。
117。
121。
これは基本的に、
排気量の違い。
107だけ別世代とか、
117から新型エンジンとか、
そういう意味ではない。
全部、
Milwaukee-Eight。
ちなみにcc表記は、
公式資料や市場によって1cc程度違う場合がある。
そこは、
この記事ではあまり気にしなくていいと思う。
最初のMilwaukee-Eightは107と114だった
2017年にMilwaukee-Eightが登場した時、
Harley-Davidsonは、
107。
そしてCVO向けの114。
を用意した。
107には、
オイルを使ってシリンダーヘッド周辺を冷却する仕様と、
液冷式ヘッドを使うTwin-Cooled仕様があった。
つまり、
「107なら冷却方式まで全部同じ」ではない。
ここからすでに、
数字だけでは分からない。
そして2018年、
新しくなったSoftailファミリーにも、
Milwaukee-Eightが採用される。
この時は、
107を標準として、
Fat Bob。
Fat Boy。
Breakout。
Heritage Classic。
などには、
114仕様も設定された。
僕の感覚では、
ここから、
「107と114があるM8」
というイメージが一気に広がった感じがする。
同じM8でも、載せ方まで同じじゃない
これも、
初心者の頃は分かりにくいと思う。
Milwaukee-Eightという同じエンジン世代でも、
載せる車体によって、
振動対策やマウント方法が違う。
たとえば、
2018年以降のSoftail。
エンジンはフレームへリジッドマウント。
そして、
内部のデュアルカウンターバランサーで振動を抑える。
僕のFXDLSみたいな、
ダイナのラバーマウントとは考え方が違う。
僕はM8搭載車へ乗ったことはない。
ただ、
外から実車を見ていても、
アイドリング時に、
僕のTwin Cam 110みたいに、
エンジンそのものがブルブル動いている感じはない。
これは、
「M8は鼓動がない」
という意味ではない。
振動の処理方法が違う。
こっちの方が正確だと思う。
ダイナから現行Softailへどう変わったのかは、
FXRからダイナ、現行ソフテイルへ。ハーレーの「走れるビッグツイン」はどう変わった?
でも整理している。
117は、最初から普通の量産エンジンではなかった
117になると、
ちょっと特別感が増す。
Milwaukee-Eight 117が登場したのは、
2018年のCVO。
当時Harley-Davidsonは、
117を、
CVO専用のMilwaukee-Eight
として扱っていた。
つまり当時は、
「117=特別」
で合っていた。
この辺は、
Twin Cam時代の110と少し似ている。
僕のFXDLSに載っているTwin Cam 110も、
もともとはCVO側で先行した大排気量エンジンだった。
CVOについては、
CVOとは?Sモデルとの違いと、FXDLSが「ほぼCVO」に見える理由
でも整理している。
でも今は、117=CVOではない
117は、
その後、
普通の量産モデルにも降りてくる。
分かりやすいところでは、
2022年のLow Rider S。
Low Rider ST。
この2台に、
Milwaukee-Eight 117が標準搭載された。
だから今、
中古車サイトで117を見て、
「CVOなんや!」
とはならない。
そして2025年以降になると、
さらに話が変わる。
Harley-DavidsonのCruiserラインでは、
117そのものが中心になってきた。
ただし、
ここでまた、
ややこしい話が始まる。笑
今の117は、同じ117でも3種類ある

2025年からのCruiser系では、
Milwaukee-Eight 117が、
大きく3種類に分かれた。
117 Classic。
117 Custom。
117 High Output。
全部、
1,923cc。
全部、
Milwaukee-Eight 117。
でも、
性格は同じじゃない。
僕も今回ちゃんと調べるまで、
ここは全然知らんかった。笑
117 Classicは、低中速で扱いやすい方向
まず、
Milwaukee-Eight 117 Classic。
2025年登場時では、
Street Bob。
Heritage Classic。
などに採用された。
Harley-Davidsonの説明では、
フラットなトルク特性を意識して、
扱いやすさを重視した仕様。
つまり、
117だから、
全部めちゃくちゃ高回転まで回して走るエンジン、
というわけではない。
排気量は大きい。
でも、
街乗り。
ツーリング。
普段使い。
そういうところでも扱いやすい方向へ振っている。
117の中でも、乗りやすさ寄り。
そんな理解が分かりやすいと思う。
117 Customは、Fat BoyやBreakout向け
次が、
Milwaukee-Eight 117 Custom。
登場時は、
Fat Boy。
Breakout。
などに採用された。
Classicより、
出力とトルクを少し上げた仕様。
ただ、
High Outputみたいに、
高回転側をガンガン使うことを一番に狙った仕様でもない。
Fat BoyやBreakoutみたいな、
太くて存在感のあるカスタム系Cruiserへ合わせている。
ここで面白いのが、
ClassicとCustomも、
ただECUの数字を少し変えただけではないこと。
吸気。
排気。
ライドモードの設定。
なども、
車種の性格に合わせて変えている。
つまり、
同じ117でも、載せるバイクに合わせて味付けを変えている。
117 High Outputは、明確に走り寄り
そして、
僕らの話で一番馴染みがあるのが、
Milwaukee-Eight 117 High Output。
2025年以降の、
Low Rider S。
Low Rider ST。
などに採用されている。
2026年Low Rider Sにも、
この117 High Outputが載っている。
High Outputは、
ClassicやCustomより、
中高回転側の性能を重視。
専用の高性能カム。
Heavy Breather。
2into1マフラー。
そして、
Classic/Customより高い回転域まで使える設定。
2025年の公式資料では、
ClassicとCustomのレッドライン介入が5,600rpm。
High Outputは5,900rpm。
つまり、
同じ117でも、
Low Rider Sの117は、明確に上まで回して走る方向。
これは、
「117って書いてたら全部一緒」
では全然ない。
同じ1,923ccでも、性格はかなり違う
整理すると、
こんな感じ。
117 Classic
→ 扱いやすさ、フラットなトルク
117 Custom
→ 太いトルクとカスタム系Cruiser向けの力強さ
117 High Output
→ 中高回転まで使う性能志向
全部、
1,923cc。
これ、
初心者にはかなり重要やと思う。
中古車や新車を見て、
「117やから速い方!」
で終わらせない。
何の117なのか。
ここまで見る。
現行Low Rider Sと僕のFXDLSについては、
別記事で詳しく比較している。
そして121には、さらにVVTが出てくる
次が、
121。
Milwaukee-Eight 121は、
1,977cc。
2023年の、
CVO Street Glide。
CVO Road Glide。
で、
Milwaukee-Eight VVT 121
が登場した。
ここで新しく出てくるのが、
VVT。
Variable Valve Timing。
日本語なら、
可変バルブタイミング。
ただし、
バルブそのものを直接動かすタイミングを何でも自由に変える、
というイメージより、
M8ではカムシャフトのタイミングを制御している、
と考えた方が分かりやすい。
121 VVTは、広い回転域で使いやすくする
VVT 121では、
エンジン回転や負荷に合わせて、
カムタイミングを変える。
Harley-Davidsonは、
これによって、
パワーバンドを広げる。
トルク特性を整える。
燃費を改善する。
という狙いを説明している。
つまり、
1,977ccの大排気量を、
ただ高回転でパワーを出すだけじゃなく、
ツーリングでも幅広い回転域で扱いやすくする。
そういう方向。
2026年でも、
CVO Street Glideなどには、
Milwaukee-Eight VVT 121が使われている。
でも、121なら全部VVTではない
ここで、
またややこしくなる。笑
Milwaukee-Eight 121 High Output
という仕様もある。
代表が、
CVO Road Glide ST。
2026年では、
CVO Street Glide STにも採用されている。
排気量は、
VVT 121と同じ1,977cc。
でも、
High Output仕様は、
VVTを使わない。
その代わり、
高性能カム。
高回転側を重視したチューニング。
低めの最終減速比。
などを使って、
よりパフォーマンスへ振っている。
つまり、
121も、
VVT 121
→ 広い回転域と使いやすさ、効率
121 High Output
→ 高回転側と絶対性能を優先
という違いがある。
121 VVTと121 High Outputは、どっちが上?
これも、
単純な上下ではない。
High Outputの方が、
名前の通り、
最高出力を狙っている。
でも、
それだけで、
すべての用途でHigh Outputの方が優れている、
という話ではない。
CVO Street Glideみたいな、
長距離ツーリングもする大型車なら、
幅広い回転域で使いやすいVVTには意味がある。
一方、
CVO Road Glide STみたいに、
バガーでも走りをかなり意識したモデルなら、
High Output。
同じ121でも、載せる車体の目的が違う。
やっぱり、
ここへ戻ってくる。
107より114、114より117、117より121なら正解?
数字だけなら、
排気量はその順番で大きくなる。
でも、
ハーレー選びとして、
この順番から考える人って、
たぶんそんなにおらんと思う。笑
たとえば、
クラブスタイルのハーレーが欲しい。
そう思っている人が、
「121が一番大きいから」
という理由だけで、
CVO Street Glideを買うか?
たぶん、
そういう選び方にはならない。笑
まず、
どんなハーレーが欲しいか。
こっちが先。
クラブスタイル。
チョッパー。
ボバー。
ツーリング。
昔ながらのクラシックスタイル。
そこを決める。
その車種に、
何のエンジンが載っているのかを見る。
僕は、
これが自然だと思う。
エンジンだけでハーレーは決まらない
同じMilwaukee-Eightでも、
乗り味やキャラクターに影響する物は、
排気量以外にもいっぱいある。
フレーム。
車重。
エンジンのマウント方法。
カウンターバランサー。
カム。
吸気。
マフラー。
ギア比。
ECU。
冷却方式。
ライドモード。
だから、
「117やから、このバイクとこのバイクは同じ感じ」
とはならない。
エンジンは、
バイクを構成する一部。
かなり大きな一部ではあるけど、
それだけじゃない。
Twin Cam 110とM8 117も、数字だけでは比べられない
僕のFXDLSは、
Screamin’ Eagle Twin Cam 110。
現行Low Rider Sは、
Milwaukee-Eight 117 High Output。
数字だけ見れば、
117の方が大きい。
しかも、
4バルブ。
高性能カム。
電子制御。
現代的な吸排気。
性能を求めるなら、
M8 117 High Outputの方が、
明らかに新しい方向を向いている。
僕はM8 117へ乗ったことがないので、
乗り味を比較することはできない。
でも、
公式スペックや構造を見る限り、
純粋に高性能を求めるならM8の方が合理的。
これはそうだと思う。
でも僕がTwin Cam 110を選ぶ理由は、性能とは別
僕がFXDLSのTwin Cam 110を好きなのは、
一番速いからじゃない。
2バルブ。
ラバーマウント。
エンジンそのものが動く。
低回転の鼓動。
機械が動いている感じ。
そこ。
M8搭載車を外から見たり、
排気音を聞いたことはある。
ダイナのラバーマウントTwin Camと比べると、
アイドリングでエンジンそのものが揺れる感じは薄い。
排気音については、
マフラーの違いが大きいので、
エンジンだけの差とは言えない。
ただ、
大排気量なのもあって、
僕にはTwin Cam以前より、
音に厚みがあるようには感じる。
これはあくまで、
外から聞いた僕の印象。
M8へ乗った感想ではない。
こだわりがないならM8を選ぶのはかなり合理的だと思う
逆に、
僕みたいに、
「Twin Camがいい」
「EVOがいい」
「ダイナじゃないと嫌」
みたいな明確なこだわりがないなら。
できるだけ新しい。
性能が高い。
安全装備も欲しい。
年式が新しい方が安心。
そんな条件なら、
Milwaukee-Eight搭載車を中心に探すのは、
かなり合理的だと思う。
ただし、
M8なら絶対壊れない
という話ではない。
中古車なら、
年式。
走行距離。
整備歴。
カスタム内容。
この辺は当然見る。
新しい設計だから正義、
古いエンジンだからダメ、
でもない。
何を優先するか。
そこだけ。
僕ならM8搭載車をこう選ぶ

もし、
今からM8のハーレーを探すなら、
僕ならこの順番。
1.まず、どんなハーレーが欲しいか決める
これが最初。
Low Rider Sなのか。
Street Bobなのか。
Fat Boyなのか。
Breakoutなのか。
Heritage Classicなのか。
Touringなのか。
まず車体。
2.年式を確認する
同じ車種名でも、
途中でエンジンや仕様が変わっている。
ここを見る。
3.搭載されているM8の種類を見る
107。
114。
117。
121。
さらに、
Classic。
Custom。
High Output。
VVT。
ここまで確認する。
4.エンジン以外の仕様を見る
フレーム。
足まわり。
ブレーキ。
電子制御。
ポジション。
吸排気。
こっちも大事。
5.中古なら整備歴とカスタム内容を見る
どれだけ大きなエンジンでも、
状態が悪ければ意味がない。
6.最後に排気量を比較する
僕なら、
ここでようやく、
107か114か。
117か。
を考える。
排気量から車種を選ぶんじゃなく、欲しい車種に何が載っているかを見る。
これが一番分かりやすいと思う。
131や135は、また別の話
Milwaukee-Eightを調べると、
さらに、
131。
135。
まで出てくる。
「まだあんのかい」
となる。笑
ただ、
これは今回の107〜121とは、
少し分けて考えたい。
Screamin’ Eagle 131や135は、
クレートエンジンやステージキットなど、
高性能カスタム側の話が中心。
普通の量産モデルへ、
107。
114。
117。
121。
と並んで標準搭載されるエンジン、
という整理とは違う。
ここまで入れると、
また長くなる。笑
これは、
また別の記事でいいと思う。
Milwaukee-Eightは、数字だけ覚えなくていい
最後にまとめる。
Milwaukee-Eightは、
2017年から続く、
Harley-Davidsonの現行ビッグツイン世代。
107。
114。
117。
121。
数字は、
基本的に排気量。
でも、
同じ117でも、
Classic。
Custom。
High Output。
で性格が違う。
121にも、
VVT。
High Output。
がある。
つまり、
数字が同じなら全部同じM8ではない。
逆に、
数字が違っても、
全部Milwaukee-Eightという同じエンジン世代。
僕も最初は、
「117とか121は特別なM8なんやろな」
くらいに思っていた。
半分合っていて、
半分違った。笑
大排気量だから特別、
というだけじゃない。
今のHarley-Davidsonは、
同じ排気量でも、
載せる車体に合わせて、
エンジンの性格まで変えている。
だから、
M8搭載車を選ぶなら、
一番大きな数字を探す必要はない。
まず、
どんなハーレーに乗りたいか。
それを決める。
そして、
そのバイクに載っているM8が、
どういう仕様なのかを見る。
僕は、
その順番が一番分かりやすいと思う。

