ハーレーのビッグツインって、
「大きい」
「重い」
「ゆっくり流す」
みたいなイメージが強い。
でも、その中には昔から、
もう少し走りを意識したビッグツイン
という流れがある。
その代表として語られるのが、
FXR。
そこから続くダイナ。
そして今のローライダーSやストリートボブなどを含む現行ソフテイル。
僕は今、FXDLSに乗っている。
だからどうしてもダイナ目線になるんやけど、
この3世代を並べると、
単純に
「FXRが古くて、ダイナがその次で、今はソフテイル」
というだけではないことが分かる。
役割としては確かにつながっている。
でも、
構造まで同じように続いているわけではない。
今回は、
FXRからダイナ、
そして2018年以降の現行ソフテイルまで、
ハーレーの「走れるビッグツイン」がどう変わってきたのかを整理してみる。
そもそも「走れるビッグツイン」って何やねん
最初に言っておくと、
これはハーレー公式のファミリー名ではない。
僕が分かりやすく説明するために使っている言葉。
ハーレーには昔から、
ロー&ロングでゆったり走るモデルだけじゃなく、
もう少し車体を起こして、
バンク角を取りやすくして、
ハンドリングも楽しめるビッグツインがあった。
僕の中では、
そういう流れが
FXR
↓
ダイナ
↓
現行ローライダー系
へ続いているように見える。
ただし、
ここで大事なのが、
役割が続いていることと、構造がそのまま引き継がれていることは別。
ということ。
そこを順番に見ていく。
FXRは1982年に登場した
FXRが登場したのは1982年。
当時のハーレー資料でも、
FXRは「FX系で初めてラバーマウントを採用したモデル」と整理されている。
エンジンをフレームへガチガチに固定するのではなく、
ラバーを介して搭載する。
これによって、
ビッグツインらしい振動を持ちながら、
車体側へ伝わる振動を抑える考え方が入った。
そしてFXRは、
見た目にもダイナより少し細く、
フレームも独特。
今見ても、
いかにも軽快そうな雰囲気がある。
僕自身、
最初のハーレーを探していた頃に、
「FXRなら予算内でいけるかもよ」
と言われたことがある。
当時の僕は、
まだダイナにもそこまで興味がなかった。
それなら無理して古いビッグツインへ行くより、
スポーツスターでいいや。
そう思って手は出さなかった。
今見ても、
所有したいとまでは思わない。
でも、
歴史を知ると面白い存在ではある。
FXRとダイナは、単純な名前変更ではない

ここは結構勘違いされやすいところ。
FXRの次がダイナだから、
「FXRがそのままダイナになった」
と思いたくなる。
でも、
実際にはそんな単純じゃない。
ダイナの始まりは1991年のFXDB Dyna Glide Sturgis。
Harley-Davidson自身も、
このモデルをダイナ時代の始まりとして扱っている。
しかもFXRは、
ダイナ登場と同時に完全消滅したわけではない。
1991年、1992年にもFXR系は存在していて、
さらに1999年にはFXR2、FXR3、
2000年にはFXR4まで出ている。
つまり、
FXRとダイナには併存した時期がある。
だから、
「FXR終了、翌年からダイナ」
みたいな一直線の世代交代ではない。
ダイナは何を変えたのか
ダイナも、
FXRと同じくラバーマウントのビッグツイン。
そしてリアには、
外から見える2本のショック。
この2つが、
僕の中ではかなり大事。
特に、
見た目で分かりやすいのはツインショック。
昔ながらのバイクらしい。
リアタイヤの左右にショックが立っている。
それだけで、
「走るバイク」っぽく見える。
車高を上げても似合う。
細めのリアまわりにも合う。
クラブスタイルにもハマる。
これがダイナの見た目の大きな魅力だと思う。
でも、
僕が実際に乗って一番ダイナらしいと思うのは、
ツインショック以上に、
ラバーマウントのエンジン。
こっちかもしれない。
ダイナらしさは、あの「暴れるエンジン」にあると思う

僕のFXDLSは、
アイドリングしていると、
エンジンがブルブル揺れる。
もちろん、
ショベル以前のビンテージハーレーみたいな世界ではない。
でも、
現行車と比べると、
明らかに「動いている」。
僕には、
馬が呼吸しているみたいな生き物感
に感じる。
これが好き。
走り出してからも、
鼓動感と振動がかなり強い。
以前よく乗っていた父親の旧ソフテイル・デラックスは、
Twin Cam 96B。
あっちはバランサー付きエンジンだった。
同じTwin Camでも、
FXDLSの方が明らかに暴れ馬感が強い。
もちろん、
110と96という排気量差もある。
マフラーも違う。
車体も違う。
だから全部をラバーマウントだけの差とは言えない。
でも、
あのエンジンが車体の中で動いている感じは、
ダイナの大きな魅力だと思う。
ダイナが「走れるハーレー」に見える理由
僕は、
ダイナをサーキットマシンみたいに考えているわけじゃない。
僕が言う「走れる」は、
もっと見た目と乗り方の話。
車高を少し上げる。
バンク角を取りやすくする。
ミッドコントロール。
高めのハンドル。
ワインディングでも普通に遊べる。
そういうスタイルが似合う。
僕のFXDLSも、
ロー&ロングのクルーザーというより、
街中やワインディングで遊べるビッグツインという感覚の方が近い。
以前、
ダイナと旧ソフテイルは何が違う?見た目だけでは分からない構造の違い
でも書いたけど、
旧ソフテイルとダイナは、
見た目以上に構造が違う。
旧ソフテイルは、
低く長く見せる方向。
ダイナは、
ツインショックを見せながら、
もう少し普通のバイクっぽい構造を持つ。
僕には、
その違いがそのままキャラクターの違いにも見える。
FXDLSは、ダイナ最終期の「全部盛り」に近い
そして2016年に登場したのが、
Low Rider S。
FXDLS。
Harley-Davidson自身も当時、
Screamin’ Eagle Twin Cam 110を積んだFXDLSを、
これまで生産した中で最もパワフルなダイナとして紹介していた。
しかも、
フロント・リアともに足まわりを強化。
ブレーキも強化。
ミッドコントロール。
高めのバー。
小さなフェアリング。
黒い車体。
僕が好きな要素が全部入っている。
詳しくは、
TC110だから選んだんじゃない。でも、ダイナ最終最強エンジンって最高やん。
でも書いた。
僕は、
「Twin Cam 110だからFXDLSを選んだ」
わけではない。
最初は、
黒いダイナが欲しかった。
調べていったらFXDLSに辿り着いて、
さらに調べたら、
「ダイナの歴史の中で最大排気量のエンジン積んでるやん」
となった。
結果として、
ダイナ最終期。
Twin Cam最終期。
そのタイミングに出た、
かなり特別な一台だった。
今も、
僕の中ではハーレー人生の終着点。
別のハーレーへ乗り換えるために、
他のモデルを調べているわけではない。
単純に、
知識として面白いから調べているだけ。笑
そして2018年、ダイナはなくなった
大きな転換が2018年。
Harley-Davidsonは、
従来のダイナと旧ソフテイルを、
新しいSoftailプラットフォームへ一本化した。
ここはかなり重要。
「ダイナの次がソフテイルになった」
ではなく、
ダイナと旧ソフテイルの両方を置き換える、新しい共通プラットフォームになった。
という方が正確。
Harley-Davidson自身も当時、
新しいSoftailを、
従来のDynaとSoftailの全モデルを置き換える単一のビッグツイン・クルーザープラットフォームとして説明している。
Low Rider。
Street Bob。
Fat Bob。
これまでダイナ側にいた名前も、
新ソフテイル側へ移った。
だから、
モデル名や役割だけ見れば、
「ダイナの後継」
と言いたくなる。
でも、
構造を見ると話が変わる。
現行ソフテイルは、構造的にはダイナとはかなり違う
新ソフテイルのリアサスペンションは、
ダイナのような左右2本のツインショックではない。
シート下に配置された、
モノショック。
見た目はソフテイルらしく、
リアショックを目立たせない。
フレームも完全新設計。
Harley-Davidsonは当時、
新フレームを従来ダイナより91%、
旧ソフテイルより65%高剛性と説明していた。
さらにエンジンは、
Milwaukee-Eight。
Softail用のM8にはデュアルカウンターバランサーが入り、
エンジンをフレームへリジッドマウントできる構造になった。
ここが、
僕にはかなり大きい。
ダイナは、
エンジンをラバーで浮かせる。
現行ソフテイルは、
バランサーで振動を抑えて、
エンジンをフレームへ固定する。
考え方が違う。
現行ソフテイルは、ダイナの後継なのか

ここが一番ややこしい。
答えとしては、
役割としては後継。構造としては別物。
これが一番近いと思う。
Low Rider。
Street Bob。
Fat Bob。
こういう、
ダイナが担っていたスポーティー寄りのビッグツインの役割は、
確実に現行ソフテイルへ引き継がれた。
でも、
ツインショックではない。
ラバーマウントでもない。
エンジンの振動処理も違う。
フレームも違う。
だから、
「現行ローライダーSはダイナの完全な後継」
と言われると、
僕はちょっと違うと思う。
現行ローライダーSを見ても、やっぱり引っかかる
現行ローライダーSは、
性能だけ見れば普通にすごい。
今のモデルなら、
Milwaukee-Eight 117。
パワーもある。
足まわりも進化している。
バンク角も取れる。
実際、
ダイナより速く走れる部分は多いと思う。
僕も実際にちゃんと乗ったら、
「これ、めっちゃええやん」
となる可能性は普通にある。笑
だから、
乗り味を否定するつもりはない。
そもそも長期所有したこともない。
でも、
止まってじっくり見ると、
僕はやっぱり引っかかる。
モノショックのフレーム。
バランサー付きのエンジン。
見た目としてまとまっているし、
性能としても合理的なんやろうけど、
僕が欲しい「ダイナ」とは違う。
見た目だけなら、現行ソフテイルにも「走れる感」はある
ただ、
これは面白いところ。
現行ローライダー系も、
車高を上げたり、
足まわりをスポーティーに振ったりすると、
めちゃくちゃ似合う。
バンク角を稼ぐようなスタイルも合う。
だから、
見た目だけで言えば、
ダイナが持っていた
「走れるビッグツイン」
の雰囲気は普通に残っている。
そう考えると、
やっぱり僕にとってダイナらしさの一番大きな部分は、
ツインショック以上に、
ラバーマウントで暴れるエンジン
なのかもしれない。
SOAの影響もたぶんデカい。笑
これは完全に僕の個人的な話。
僕は『SONS OF ANARCHY』の影響もかなり受けている。
あの世界の、
高めのバー。
小さいフェアリング。
ツインショック。
黒いダイナ。
あの雰囲気が好き。
だから、
性能表だけ見て、
「現行ローライダーSの方が速いし優秀やん」
と言われても、
それだけでは動かない。
バイクって、
そういうもんやと思う。
スペックで全部決まるなら、
そもそもハーレーに乗ってない。笑
中古ダイナと現行ソフテイル、どっちを選ぶ?
もし、
今から初めて買う人に聞かれたら、
かなり分かりやすく分ける。
性能。
乗り心地。
新しさ。
壊れにくさ。
部品供給。
総合点で考えるなら、
僕なら現行ソフテイルを勧めると思う。
わざわざ古い車体を選ぶ理由がない人に、
「絶対ダイナやで」
とは言わない。
逆に、
僕みたいに、
「ツインショックじゃないと嫌」
「アイドリングでエンジンが揺れてほしい」
「ラバーマウントの暴れ馬感が好き」
「ダイナじゃないと意味がない」
という人なら、
中古ダイナ。
これはもう、
性能比較の話じゃない。
趣味の話。
新しい方が優秀。でも、それで古い方の価値は消えない
機械として見れば、
新しい方が進化しているのは普通。
フレーム剛性。
エンジン性能。
制御。
快適性。
ブレーキ。
サスペンション。
何十年も経っているんだから、
進化していて当然。
でも、
それで昔の構造の価値がなくなるわけじゃない。
むしろ、
今はもう作っていないからこそ、
その構造自体が魅力になる。
FXRにはFXRの魅力。
ダイナにはダイナの魅力。
現行ソフテイルには現行ソフテイルの魅力。
そこを、
速い遅いだけで比べる必要はないと思う。
FXRからダイナ、ソフテイルへ。続いたのは「役割」だった
振り返ると、
FXR。
ダイナ。
現行ソフテイル。
全部同じ構造ではない。
FXRからダイナへ変わった時も、
フレームは変わった。
そして2018年、
ダイナと旧ソフテイルは、
完全新設計のソフテイルへ一本化された。
でも、
「もっと走れるビッグツインが欲しい」
という役割自体は消えていない。
今なら、
ローライダーSやローライダーSTがその場所にいる。
だから、
僕は現行ソフテイルを
「ダイナの後継ではない」
とも思わない。
ただ、
ダイナそのものの続きを作ったバイクでもない。
役割や名前は受け継いだ。
構造は変わった。
それが一番しっくりくる。
ダイナは、
ツインショック。
ラバーマウント。
そして、
あの生き物みたいに暴れるビッグツイン。
そこまで含めてダイナだった。
だから僕にとってFXDLSは、
今でも、
ダイナファミリーの最後に出た最強版。
その位置は、
現行ソフテイルがどれだけ高性能になっても変わらない。

