Twin Camのハーレーを探し始めると、また数字が増える。
88。
96。
103。
110。
しかも、
Twin Cam 88B。
Twin Cam 96B。
みたいな「B」まで出てくる。
さらに、
キャブ。
インジェクション。
カムチェーンテンショナー。
もう、
「結局どれ選んだらええん?」
となる。
でも、最初に結論を言えばそこまで難しくない。
88・96・103・110は、全部同じTwin Cam世代。
基本的には排気量や仕様、登場した年代が違う。
今回は、Twin Camの中古ハーレーを探す時に必要なところだけ整理してみたい。
Twin Camより前から歴代ビッグツイン全体を見たい人は、先にこちら。
Twin Camという名前は「カムが2本」
Twin Camは、1999年モデルから登場したハーレーのビッグツインエンジン。
名前の通り、
カムシャフトを2本持っている。
それまでのEvolutionから置き換わり、その後Milwaukee-Eightが登場するまで長く使われた。
だから同じTwin Camでも、初期と最終期ではかなり時代が違う。
僕のFXDLSに載っているTwin Cam 110も、このTwin Cam世代の一つ。
110だけ別のエンジン世代というわけではない。
まず88・96・103・110をざっくり比較
| 名称 | 排気量 | 主な登場時期 | 主な使われ方 | 初心者向けに言うなら |
|---|---|---|---|---|
| Twin Cam 88 | 約1450cc | 1999年〜 | Dyna・Touring、後にSoftailの88B | Twin Cam初期 |
| Twin Cam 96 | 約1584cc | 2007年〜 | Dyna・Softail・Touring | 後期Twin Camの中心 |
| Twin Cam 103 | 約1690cc | 2000年代後半〜 | Touringから広がり、Dyna・Softailにも | 大排気量化が進んだ世代 |
| Twin Cam 110 | 約1802cc | 2007年〜 | 主にCVO、後にSモデルなど | Twin Camの大排気量・特別仕様 |

ここで大事なのは、
88が終わった瞬間に世界中のハーレーが96になって、その次に全部103になった
みたいな単純な流れではないこと。
モデルや市場、年式によって並行して存在している。
だから中古車を見る時は、
「2012年だから絶対103」
みたいにエンジンだけ決めつけず、その車両自体を確認した方がいい。
Twin Cam 88――Twin Cam時代の始まり
最初のTwin Cam 88は1999年モデルから。
排気量は88cu.in.、約1450cc。
DynaとTouringから始まり、2000年にはSoftail向けのカウンターバランサー付きTwin Cam 88Bも登場した。
この88の時代は、キャブレター車とインジェクション車が両方ある。
だから僕が中古Twin Camを探すなら、
まず最初にキャブかインジェクションかを見る。
ここはかなり大きい。
キャブが好きなら前期Twin Camには面白い車両が多い。
逆に、
「普通にセル押して気軽に乗りたい」
「気温や標高で細かいこと考えたくない」
ならインジェクションの方が分かりやすい。
僕自身は昔キャブのSportster 1200に乗っていたけど、今Twin Camを選ぶならインジェクション派。
FXDLSを探した時も、
インジェクションのブラックダイナ
が最初から条件だった。
Twin Cam 96――後期Twin Camの入口として分かりやすい
2007年モデルから登場したのがTwin Cam 96。
排気量は約1584cc。
このタイミングでBig Twinは6速Cruise Driveが広がり、EFIも全モデル標準になった。
だから初心者向けにかなり雑に分けるなら、
88時代=前期Twin Cam
96以降=後期Twin Cam
くらいから入っても分かりやすいと思う。
もちろん厳密にはモデルや仕様による例外がある。
でも中古車選びの入口としては、
「キャブもある88時代」
「インジェクション中心の96以降」
という見方はかなり使いやすい。
親父が乗っていた2012年式Softail DeluxeもTwin Cam 96だった。
僕も何度も乗っている。
普通に走るには十分トルクもあるし、長距離も楽だった。
Twin Cam 103――標準モデルにも大排気量化が広がった
Twin Cam 103は約1690cc。
103自体は早い段階から存在していたけど、最初から全モデル標準だったわけではない。
Policeモデルや一部Touringなどから採用が広がり、2012年には多くのTouring、Softail、Dynaで103が標準化されていった。
つまり、
103は「96の次に全車一斉切り替え」ではない。
96と103が並行して存在する時期もある。
中古車を見ていると、
「同じような年式なのにこっちは96、こっちは103」
みたいなことがあるのはそのため。
Twin Cam 110――Twin Camの中の大排気量仕様
そして110。
排気量は約1802cc。
僕のFXDLSに載っているエンジン。
110はTwin Camとは別のエンジンではない。
Twin Camの中の大排気量仕様。
2007年モデルからCVOなどに採用され、その後も基本的には特別感のあるモデルを中心に使われてきた。
2016年のLow Rider S、FXDLSにもScreamin’ Eagle Twin Cam 110が搭載された。
当時Harley-Davidson自身が、
FXDLSを「最もパワフルなDyna」と表現している。
僕がFXDLSを選んだ理由も、
「110だから」
ではない。
ブラックエンジンのダイナを探していったら、FXDLSにたどり着いた。
そこから詳しく調べて、
「ダイナの歴史の中でも最大排気量クラスの110載ってるんや。ええやん」
となった。
110は目的ではなく、最後に背中を押した要素。
TC110だから選んだんじゃない。でも、ダイナ最終最強エンジンって最高やん。
AとBは何が違う?

Twin Camを調べると、
「A」と「B」
という言い方も出てくる。
かなり簡単に言えば、
一般にAと呼ばれる側は、カウンターバランサーなし。
Bはカウンターバランサー付き。
Harley-Davidsonの公式資料でもSoftail用には、
Twin Cam 88B。
96B。
103B。
110B。
という表記が使われている。
Bは旧Softail用。
エンジンをフレームにしっかり固定するソリッドマウントだから、そのままだと振動が強い。
そこでエンジン内部のバランサーで振動を抑える。
対してDynaやTouring側は、エンジンをラバーでフレームから隔離するラバーマウント。
だからエンジンそのものがアイドリングでブルブル動く。
僕は完全にこっちが好き。
信号待ちでガサガサ揺れて、
「鉄の塊が動いてます」
みたいな感じが欲しかった。
逆に、
「ハーレーは好きやけど振動は少ない方がいい」
なら旧SoftailのB系はかなり分かりやすい選択肢だと思う。
この違いは、前の記事で詳しく書いた。
ダイナと旧ソフテイルは何が違う?見た目だけでは分からない構造の違い
Deluxeの96とFXDLSの110は、数字だけでは比較できない
親父のDeluxe 96と僕のFXDLS 110。
実際に乗ると、加速感とトルク感はかなり違う。
FXDLSの方が明らかに前へ出る。
音圧も、僕の車両では110の方が厚く感じる。
でも、
「110だから全部こうなる」
とは言えない。
Deluxeは旧Softail。
ソリッドマウント+カウンターバランサー。
FXDLSはDyna。
ラバーマウント。
さらに僕のFXDLSは吸排気やチューニングも純正状態とは違う。
車重もギア比もマフラーも違う。
だから僕が感じた、
「96と110は全然ちゃう」
という体感は事実。
でも、その差を全部排気量だけのせいにはできない。
ここは中古ハーレーを見る時にもかなり大事だと思う。
初期Twin Camでよく聞くカムチェーンテンショナー問題
Twin Camを調べていると、かなりの確率で出てくるのが、
カムチェーンテンショナー。
僕もFXDLSを探している時に知った。
初期Twin Camでは、カムチェーンを押さえるテンショナーシューの摩耗が注意点としてよく知られている。
Harley-Davidsonのサービス資料を見ても、初期88ではスプリング式のテンショナーが使われている。
一方、後のTwin Camではカム周りが改良され、油圧式テンショナーや新しいカムプレート、オイルポンプへ変わっている。
Harley-Davidson自身も現在のLongBlockプログラムで、1999〜2006年エンジンを後期型の油圧テンショナーなどへアップグレードする内容を案内している。
僕も最初は、
「Twin Camってテンショナーの持病あるんやろ?」
と思っていた。
でもFXDLSまで候補が絞れた時点で、後期Twin Camでは改良されていると分かった。
そこからは購入の懸念ではなくなった。
前期Twin Camを買うなら、
テンショナーが点検・交換されているか。
後期仕様へのアップデート歴があるか。
この辺は確認して損はないと思う。
「前期と後期」は、僕ならこの順番で見る

Twin Cam初心者に説明するなら、僕はこう見る。
まず、
キャブかインジェクションか。
これが一番分かりやすい。
次に、
カムテンショナー周りが初期仕様か、改良後か。
最後に、
88・96・103・110の排気量。
最初から数字だけ見ても、
その車両が自分に合うかは分からない。
僕ならこの順番の方が中古車選びには実用的だと思う。
Twin Camの中古は、今かなり面白いと思う
Twin Camって、今ちょうどいい世代だと思う。
M8ほど新しくない。
でも旧車と呼ぶほど古くもない。
インジェクション車も多い。
普通に長距離も走れる。
整備情報も多い。
そして人気のDynaやFXDLSみたいな希少モデルを除けば、比較的現実的な価格で探せる車両も多い。
親父のDeluxeもそうだった。
走行距離は伸びていたけど、新車からずっと正規ディーラー整備。
整備記録もあり。
純正部品も残っていた。
それでも下取りは55万円だった。
つまり中古市場を探せば、
「ちゃんと乗られてきたTwin Cam」
を現実的な予算で探せる可能性がある。
もし友達に、
「100万円くらいでTwin Camのハーレー欲しい」
と言われたら、僕ならまず旧Softailを見る。
Dynaは絶版人気もあって、Softailほど値段が下がっていない車両が多い。
予算を抑えながらビッグツインに乗るなら、Twin Cam Softailはかなり面白いと思う。
じゃあ88・96・103・110、どれを選ぶ?
ここまで書いておいて、
「結局どれ?」
と言われたら、
数字だけでは選ばんでいい。
キャブが好きなら88。
インジェクションがいいなら後期。
振動を抑えたいなら旧SoftailのB系。
荒々しく揺れるエンジンが好きならDynaやTouring側。
大排気量の特別感が欲しいなら110。
そんな感じで見ればいい。
僕みたいに、
「どうせなら最強がええやん」
となったら110も面白い。笑
でも110だから全員に一番いいわけではない。
Twin Camの魅力は、結局「バランス」
Twin Camの何が好きか。
一言で言えば、
バランス。
エンジンの信頼性。
ハーレーらしい鼓動。
大きな排気量。
中古車の価格。
部品や整備情報。
古すぎない。
でも最新すぎない。
僕にとって、このバランスがちょうどいい。
Twin Cam 88でも96でも103でも110でも、
数字はあくまで入口。
最後は、
どの車体に載っているのか。
どういう仕様なのか。
どんな状態なのか。
そこまで見て決めた方がいい。
Twin Camの中古車は、まだまだ選択肢が多い。
だから数字の大きさだけで決めず、
自分がハーレーに何を求めるのか。
そこから選ぶのが一番いいと思う。

